余命2ヶ月の男が戦場に行く話(後編)

前回までのあらすじ

 

ディズニーに来ている全ての女性に

損をさせてしまった

 

もし私が逆ナンに成功していたら

3時間の間、私が何故独りディズニーに

来ることになったのか面白おかしく

語ってあげたのに

余命2ヶ月の男が戦場へ行く話(前編) - アヤタカの健全な方のブログ (hatenablog.com)

 

他にも凄いカイロプラクティックに行った話や

凄いカイロプラクティックに行った話 - アヤタカの健全な方のブログ (hatenablog.com)

 

青くて甘くて若い学生時代に

人生最大の告白をした話で

オナニーマスター綾鷹 第七発 - マスターOのブログ (hatenadiary.com)

(下ネタ注意)

 

彼女達の素敵な待ち時間にしてあげることが

できたのに

 

故にそれを成し得ることが出来なかった

私は全ての女性を損させてしまったいうわけだ

 

狙撃手というのは

ひとりぼっちな運命ということか

 

私はただただ孤独にトイストーリー・マニアで

三千世界の鴉を殺すが如くゲームの的を打ち抜く

カウボーイと化していた

余命2ヶ月の男が戦場に行く話(中編) - アヤタカの健全な方のブログ (hatenablog.com)

 

 

 

159200点

ゲームスコアという名の

孤独度指数を叩きつけられた私は

東の園(エデン)へ旅立つのであった

 

 

 

 

 

 

 

0章

プロローグ

 

園の東の方へ行くと

禁断の遺跡群のようなものが見えてくる

 

かのインディ・ジョーンズが探検したという

クリスタル・スカルの王国

 

そり立つ魔宮はさながら現代に蘇った

バベルの塔を思わせる

 

魔宮に近づくと神殿を守護する神官のように

立っている女性スタッフがいた

 

おそらくあそこが入口なのだろう

 

入口に向かおうとすると

女性スタッフと私の

目と目が合う

 

 

 

 

次の瞬間何が起きたと思う?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんと!

私に向かって女性スタッフが

ツカツカと急接近してくるではないか!

 

なんだ!?

もしや逆ナンか!!!??

 

 

真の英雄は眼で殺すとは

これこのこと

 

ついに私はやりとげたのだ

こちらから声をかけることなく

己のオーラのみで一人の女性を

おとしてみせたのだ…

 

私の時代が来た

年号は今、令和から綾鷹へと

変わりたがっている

 

私のもとへ来た女性スタッフが笑顔で口を開いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまシングルライドの方は

すぐにご案内できまーす!

お一人様ですか!」

 

彼女の開いた口から発射されたのは毒矢であった

 

世の中には笑顔で人を殺せる人間がいる

 

彼女はおそらくそういったタイプの人間なのだろう

 

その毒矢は、クリスタル・スカルの魔宮に

仕掛けられているどんな罠よりも

殺傷力があったに違いない

 

その矢の毒は私を

「シングルです」

とシンプルかつシングルな言葉しか

発することのできない生物へと変えた

 

かくして私はその女性スタッフもとい神殿の神官に

魔宮の奥へと案内されたのであった

 

 

 

 

 

 

1章

インディ・ジョーンズ

 

なんと待機人数0人の待機時間0秒であった

 

自分以外の人間が世界から消滅したのかと思った

 

マリオカートのキラー状態よろしく

遺跡の奥の奥へと一気に進んでいく

 

まるで時間を止めて順番抜かしを

しまくっているようだ

 

 

「思うに自動車という機械は

便利なものだが誰も彼もが乗るから

道路が混雑してしまう。

止まった時の中はひとり…」

DIO様のような気分になってしまう

というかそんな気分にでもならなければ

やってられない

 

何故なら…

 

待機人数0人ということは

私以外に独りでディズニーに来ている

者がいないということなのだから…

 

 

しかし、インディ・ジョーンズ

アトラクションは待ち時間0分とは

思えないクオリティだった

 

しかも絶叫系アトラクションに分類されるので

「どうしてなんだよお

おおおおおおおおお!

どうして彼女ができねえ

えんだよおおお!」

 

…と、藤原竜也ばりに叫ぶこともできる

(叫んだわけではないが)

 

もしディズニー中に叫びたくなるような

辛いことが起きたらまたここに来るとしよう

 

 

クリスタル・スカルの遺跡を去ろうとすると

私のスマホが唸りをあげた

 

 

 

 

 

 

「アヤタカさんディズニーに

いるんですか!俺もいるんすよ!

記念撮影しましょう!」

 

まさかの友人もここに来ていたのだ

 

彼は格ゲーつながりの友人で

よく相手を美しくハメ殺しているので

謎のハメ師と呼ぶことにする

 

 

謎のハメ師と合流すると開口一番

 

「アヤタカさん!マジで独りで

ディズニー来たんすか!」

 

絶滅危惧種だか未確認生物でも

見つけたかのようなテンションで

話しかけてくる

 

 

 

 

 

この質問に対して

 

「いや、流石に?俺の隣にいる

彼女が見えないですか?」

 

と3時間のアトラクション待ちの間に

私が想像で創造したイマジナリー彼女を

紹介するのは簡単だ

 

しかし、ここで真実を伝えてしまうと

「アヤタカさん、まさか亡くした彼女を

弔う為にディズニーに来ていたなんて!

ただの妄想家だと思っていたけど、

文字通り亡き女を想う漢だったんだな!

なんてロマンチストなんだ!粋すぎるぜ!」

 

…と、拡大解釈した謎のハメ師

ヒレがつきまくるどころか

食い残しの海老フライの尻尾のように

ヒレしかない噂を広めてしまうかもしれない

 

こんなことになると、しまいには

日本にロマン主義文学をもたらした森鴎外

「ロマン」を「浪漫」と当て字表記した

夏目漱石達が私のあまりのロマンチストぶりに

天国からファンレターを送ってくるかもしれない

 

いかに私といえども、そんな事態になったら

収拾をつけることができないだろう

 

いつの世も

真実とは残酷で

嘘とは美しいものだ

 

 

「そうです。ソロです」

 

私は美しい方の選択肢を選んだ

 

嘘も方便というヤツだ

 

その真実を伝えるには

謎のハメ師にはあまりにも酷だ

 

 

 

そして私達は約束通り記念撮影をした

 

 

右が謎のハメ師だ(許可を得ています)

 

手にもっているのは私へのお土産で

買ってくれたミートソース入りのナンである

 

なんて優しい男なんだ…謎のハメ師

 

私のぶんも含めて全部で3つあるぜ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり私のナンを

除くと残り2つ

謎のハメ師は独りでは

なかったということだ

 

え?泣いてなんかないですよ?

劣等感とか別に抱いてないですよ?

ふう…謎のハメ師がお土産でくれた

ミートソース入りのナンでも食べるとしよう

この劣等感ではない気持ちを抑えるために

 

そのナンは

何故か塩味がそれはもうよく効いており

何故か液体で濡れたかのようにふやけており

何故か「どんな味でしたか?」と聞かれると

「敗北の味がしました」

答えたくなるようなナンだった

 

詩人・ゲーテ

「涙と共にパンを食した者にしか

その人生の味は分からない」と言った

 

え?泣いてなんかないですよ?

敗北感とか別に抱いてないですよ?

 

さて…何故か無性に猛烈にまた

インディジョーンズに乗りたくなったので

この敗北感ではない気持ちを抑えるために

ハリソンフォードに会いにいくとしよう

 

独りではない謎のハメ師の

邪魔をするといけないので

アヤタカはクールに去るぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2章

アラジン

 

 

待機時間0分で受けられる慰め

インディ・ジョーンズこそ至高の心療内科

 

そしてハリソンフォードに励ましてもらった後

またしても私のスマホが唸りをあげた

 

「アヤタカ!ディズニーいんの?

俺も今シーいるよ!」

 

まさかの知り合い2人目である

 

しかもこちらも格ゲーつながりだ

どんな確率だよ…

 

彼は格ゲーでブルースリーみたいな

キャラを使うのでブルースリーと呼ぶことにしよう

 

ブルースリーと会うのは久々だ

5年ぶりくらいだろうか

 

5年前は東京に行った時

よく家に泊めてもらったものだ

 

 

彼はアラジンエリアにいるとのことなので

そのエリアの噴水で合流することにした

 

 

 

 

「アヤタカ、マジで独りで

ディズニー来たの!?」

 

ついさっき聞いたような台詞だ

私もついさっき言ったような台詞で返す

 

「そうだよ。ソロだよ。」

 

とうぶん、これが私の挨拶になりそうだ

 

革命家ゲバラ

「チェ(やあ)、エルネスト・ゲバラだ。」

スペイン語で挨拶していたのを

キューバ人が面白がりチェ・ゲバラ

呼ばれるようになったという

 

私もそのうちこの挨拶を面白がられ

独りディズニーのアヤタカだの

革命家だの「ソ・ロタカ」だの

呼ばれるようになってしまうのだろうか

 

冗談ではない

 

そして多分に漏れず私に対して

「独りなのか?」と尋ねてきた

ブルースリーは当然、謎のハメ師と同じく

独りではなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんなら2人でもなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう…

 

 

 

 

 

彼は立派な父になっていた

 

 

 

 

 

ブルースリーと私は

歳が1つか2つしか変わらない

 

そんな彼に2歳になる可愛らしい

娘さんがいた

 

つまり彼は俺くらいの歳には既に

新しい命を授かっていたということだ

 

 

かたや家族と一緒にディズニー・シー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かたや

こんなものを作っている

30歳まであと2ヶ月の独身男

 

ずっと現実から眼を逸らしていたが

いよいよ死にたくなってきた

 

ブルースリーファミリーは俺のような

お邪魔虫を邪険にせず

一緒にアラジンのメリーゴーランドに

乗りましょうと誘ってくれた

 

待ち時間15分と書かれた

アラジンのメリーゴーランド

 

実際は5分も待たずインディジョーンズを除くと

ダントツで直ぐに乗れたアトラクションだったが

このメリーゴーランドが一番印象に残った

 

ブルースリーファミリーとの

メリーゴーランド(許可を得ています)

 

生まれてこの方メリーゴーランドで

ここまで人生について考えさせられたことはない

 

流石にこれ以上独りではない

ブルースリーの邪魔をするわけにも

いかないのでアヤタカはクールに去るぜ

 

 

日は沈み、私の心も沈んだところで

ディズニー・シーを後にした

 

 

夜のシーのライトアップは

今の私にはあまりにも眩しすぎた

 

 

終章

エピローグ

 

 

 

 

 

1「アヤタカさん!マジですいませんでした!」

2「独りディズニーお疲れさまでした!」

3「肉でも食って元気出しましょうよ!」

「美味い焼肉屋知ってるんすよ!」

 

ディズニーシーを去り場所は東京の某所

 

私を激励している上記の連中は他でもない

 

今回ディズニー・シーを

ドタキャンした奴らである

 

せっかく東京まで来たんだから

ディズニー帰りに会いましょうよ!

ということで、こうして出迎えてくれた

(ちなみに私以外は全員関東勢である)

 

断っておくが、私は本当に

彼らのことを怒っても恨んでもないし

むしろ貴重な体験をさせてくれて

ありがとうと思っている

 

このブログを書くことを

二つ返事で許可してくれたし

ディズニー・シーから

風前の灯の状態で帰ってきた私を

こうやって焼肉に誘ってくれた

 

 

気のいい奴らだ

 

この美味い焼肉屋とやらで今回の傷を癒すとしよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言うと

この焼肉代は普通に

7500円とられた

 

 

 

 

 

 

 

 

そして何故か

「美味い焼肉屋知ってるんですよ!」と言った4が

 

「4は美味い店紹介してくれたからお金払わなくていいよ!」

という素晴らしい理由で奢ってもらっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ…

 

私は超イケメンで超良い奴なので

そんなことは

ちーーーーーーーーっとも

気にしていないけどね

 

しかも、私は超優しいので

「君たちにとっては今回の一番の被害者で

一番遠方からはるばる来てる私よりも

晩飯の場所を案内した4の方が

お金を出してあげる対象なんだね。

そっかぁ~」

なんてことは口が裂けても言わなかったし

思わなかったぜ!

 

偉すぎないかい私?

 

 

むしろ

またしてもブログの

ネタを投下してくれて

ありがとう!

 

と喜びのあまり踊り狂いたい気分だったよ

 

 

 

 

そんな面白すぎるオチがあるとも知らず

焼肉屋で談笑していると

そこの女性店員が

 

「え!?1人でディズニー行かれたんですか!?」

 

と私達の話に食いついてきた

 

その女性店員はなかなかの接客上手で

見た目も麗しかった

 

人気のある子で他の席に座っている

お客さんにも神対応をしている

 

私は今回の独りディズニーに至った経緯を

説明した

 

「次に東京来られた時は素敵な人と

一緒に行けたらいいですね!」

 

私が関西から来た客だということを知ると

彼女はそう言いながら笑いかけてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今回のディズニーで1つのルールを設けた

待機中にこちらから声をかけたりナンパしない

逆はその限りではなく逆ナンはOK

 

 

 

 

 

だが、ここはもうディズニーではない

 

逆ナン待ちの待ちガイル状態では

栄光は掴めないのだ

 

 

 

故に俺は

 

 

 

「じゃあ次に自分が

東京来た時、一緒に

行きましょうよ!」

 

人生初のナンパをかまし

 

お粗末で不恰好なナンパだった

 

ナンパコンテストで優勝した

ハニーハントの達人には遠く及ばない

 

 

こんなナンパが成功するハズもなく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいですよ!

一緒にいきましょ!」

 

このブログのオチにでも使えればいいなと

発した私の言葉に

 

「はい」「yes」「OK」

 

と、この女性は肯定文で返した

 

たとえそれが99%社交辞令の

台詞であったとしても、

この男の人生初のナンパは

ひとまずラリーを継続させることに

成功したのだ

 

ならばこちらも次のストローク

打たねばならない

 

ここで行かなくてどうする

 

今完全に流れが来ているのだ

 

今度こそ私の時代が来たのだ

 

年号は今、再び令和から綾鷹へと

変わりたがっているのだ

 

 

 

 

 

 

 

「ほんと!?じゃあ

LINE交換しましょう!」

 

言った

 

 

 

 

 

 

 

おそらくディズニーに行く前は

絶対に言うことがなかった台詞だ

 

あと2ヶ月で30歳になる男が

ようやく漢になろうとしていた

 

その女性店員は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無言で私に笑顔を返した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やった!

ついに報われたのだ!

 

今回の独りディズニーは決して

無駄ではなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、待て

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの笑顔

 

 

 

 

 

 

何かがおかしい

 

 

 

 

 

 

 

目が全く笑っていない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは肯定の笑顔ではなく

圧を放っているような笑顔であった

 

リップサービスで返した言葉に

マジレスしてこないで下さい。

でも口に出したら私の印象が

悪くなるからこの笑顔で察しろ。

な?」

と言っているような…

そんな顔であった

 

 

 

 

ただ断るのではない

あげて落とす

 

そうすることによって

その男にトラウマを植え付け

今後ナンパができない身体にする

 

ナンパ初心者の俺でも分かる

プロのナンパの断り方であった

 

彼女は最も美しく、最も鮮やかで、

最も分かりやすい方法で

私の人生初のナンパをかわしてみせたのだ

 

自分の手を一切汚すことなく!

 

99%の社交辞令が

100%になった瞬間であった

 

 

 

 

 

 

1日に2度、女性に笑顔で殺された

私に対して今回の焼肉の幹事が言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!アヤタカさん

そろそろ会計なんで

7500円お願いしますw」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜

東京のとあるカラオケで

アスファルトタイヤを切りつけながら

暗闇を走り抜ける勢いで

 

愛のパズルは

独りじゃ解けねえんだよ

 

と叫ぶ

30歳まで余命2ヵ月の男の姿があったという

 

 

 

 

余命2ヵ月の男が戦場に行く話